N:陽世のナレーション
シーン2 大沢病院・陽世の病室
N「それから2週間が過ぎた」
シーン4 牧場の道
N「私がインターフェロンの投与を受けている頃、ソラネェは北海道にいた」
シーン5 大沢病院・陽世の病室―回想
「……さっき……北海道の夢を見た……」
「夢の中でね、私、すごい元気なの。ここに寝てるのが嘘みたい。帰りたくなっちゃった……」
「冗談。でも……ネェ……診療所に戻っちゃダメ?」
「……絵、描きたい」
「私、やりたい事が沢山あるのに、何にも出来ないね」
「(苦しそうに)……ゴメンナサイ……今、食べたくない……」
シーン14 大沢病院・陽世の病室
「(ポツリと)あの絵、描きあげないと……」
シーン32 大沢病院・陽世の病室
「(目覚めて)……ソラネェ」
「(驚き)……これ……」
「(それをじっと見て)……」
「……(うなずく)」
「……」
「……」
「……」
「(一瞬、躊躇)……」
「……」
「……おいしい(と、微笑む)」
「……うん」
「赤ちゃんみたい」
シーン41 大沢病院・陽世の病室(翌日)
「(不安)……ニューヨーク?」
「……」
「……」
「……ニューヨーク行く前に一つだけ……ワガママ言っていい?」
「私、診療所に帰りたい。……それで絵、画きたい」
「……」
シーン42 坂本診療所・二階
「……どうしたの新さん」
「何これ……ミミネェどうしたの?」
「……だけどソラネェ」
「……判ってるけど」
「……」
シーン54 坂本診療所・陽世の部屋
「(筆を止め)……」
「……」
「……暫くここには戻って来れないんだね」
「……ずっとここにいたい……ここで絵を描いていたい」
「せめてこの絵が仕上がるまで、ここにいたい!」
「今、仕上げなきゃ……ずっと仕上げられないかもしれない……」
「私、怖い!」
「ソラネェ!」
「(うなずく、懸命にうなずく)……」
シーン55 同・二階(数日後)
N「その週末、私はオネェマとニューヨークへ発った」
シーン62 坂本診療所・陽世の部屋
「ごめんなさい!。ホームルームが長引いちゃって」
「えー!」
N「私の絵も、もうじき完成する」
シーン63 診療所の光景(後日)
沢山の患者でごった返している診療所。
いつもながらの宇宙と新之助の診療風景。
と、陽世もそれを手伝っている。
―おわり
(マリア台本より)